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作業療法士が3Dプリンタを用いて自助具を提供するプロセスのフローチャート

revised: 2019 / 03 / 14

3Dプリントをはじめようー機種などの準備 (ver. 2024.03)

ファブラボ品川にお問い合わせの多い個人ユースなどにおすすめの廉価版 3D プリンタのオススメ機種やフィラメントについてまとめました.

3Dプリントをはじめようーノズル交換のススメ

3Dプリンタの活用法について,今回はノズルを交換することの意味について考えます.

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林 園子 (ファブラボ品川ディレクター、作業療法士)

作業療法士などが、3Dプリンタを用いて自助具の製作を行う場合のプロセスのフローチャートを描いてみました。

一般的な自助具の製作プロセスは以下にまとめられます。

①ニーズを把握する
②問題点および強みの分析と評価
③解決方法の検討
④自助具の設計
⑤自助具製作と試行
⑥自助具の適合評価・効果判定・改良
⑦フォローアップ

①のニーズを把握する際には、「どこで」「(誰と)誰が」「何を」「何のために」「どのようにして」行いたいために必要な道具なのかを可能な限り具体的に把握します。ニーズはしばしばクライアントも療法士も言語化することが難しい場合があります。そのような場合、3Dプリンタが活躍できます。

②の評価に基づき、療法士が最もクライアントのニーズに適合しそうな3Dデータを探す、アレンジする、または一からモデリングして出力し、まずは手渡してみるとよいでしょう。

3Dプリンタはデータを保存することができ、アレンジ・修正したものをその場で物質化することができるため、④、⑤、⑥のプロセスを高速で回すことができます。④の検討に時間をかけずとも、具体的な成果物をやりとりすることで素早く最適な結果に辿り着ける可能性が高まります。

フォローアップは使用方法の説明やメンテナンス指導などです。可能であれば、仕様書や同意書を用意するとよいですが、3Dプリントしたものの場合は、使用したSTLデータと出力の設定およびGcodeを保存しておき、次の担当者に確実に引き継げるようにしておくか、クライアントに手渡せるようにしておくと良いでしょう。

この3Dプリンタによる自助具製作における「ラピッドプロトタイピング」のプロセスは,評価に基づき選択し、段階づけをして提供します。どの程度の完成度、どの程度の手触りや使い心地に仕上げた後に手渡すことが最も適しているか判断し、提供することは療法士として高めるべき技術だと思います。